毎日新聞社は膨大な写真アーカイブがあります。昭和初期に大阪で撮影した写真を選び、写真部記者が当時の記録を調べたうえで現地を訪ね歩いて風景を撮影し、写真にまつわる記事も執筆しました。

市電やボンネットバスが行き交う大阪駅周辺や海水浴客でにぎわう浜寺海水浴場、機械工具の店が並ぶ立売堀の問屋街など、懐かしい大阪の町並みが収まっています。また、ランニングにステテコ姿で縁台に腰掛けて涼む人や、大勢の人であふれる梅田の闇市などの写真からは、人々の息づかいが感じられます。このほか、1934(昭和9)年の室戸台風で高潮と烈風により尻無川を埋め尽くした大量の船や、大阪大空襲で焼け野原になった終戦直後の難波駅周辺の写真など社会の大きなできごとを収めた貴重なカットもあります。

昔の大阪に出会える写真集です。ご高齢の方には懐かしく、若い人には新鮮な発見があります。

高齢の方は写っている風物から、思い出に浸って心が安らぎ、昔を思い出して会話が弾みます。認知症の方への関わり方として注目されている回想法にもご利用ください。